Photo Album

  

 

 

 

No.58

 

 

 

 

 

 

PHOTO ALBUM   アイデンティティの庭

 

 

 

 

 

 

何十年かぶりに生家を訪れた

 

 



 

 

すでに棲む人はなく 荒れ果て とりこわしを待つだけの廃屋となっていた

 

 

 

 

 

 

 



遠い夏の日

 

 

あの日も 暑い一日だった

 

 

 

この庭で 他と明らかに違う存在「自分」に気が付いた


それは 母の植えた花に飛び交う虫たちを見ているときだった


自我の目覚めだ

 

 

だが、成長するにつれて 誰もがそうであるように

 

自己認識の軌道修正を余儀なくされた

知りえる自分という存在が 環境にそぐわないからだ



自己の根幹から分解し見直して再構築する

これを自己の再統合 Identity と呼んでいる

私は多くの場合 自分を変えて調和をはかる道を選んだ

 

 




ときに迎合することもあったかもしれない


また、媚び諂うこともあったかもしれない

進んでは戻りして どうしても我慢ならないときは





                                                                                          …… その場を去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これまでに 何度アイデンティティを繰り返してきたろうか

そしてこの先 何度繰り返すだろうか

 

 

 


私もいつの日か この庭を去るときが        来る

 

 

 

 

 

 

 


 

夏祭りを終えた社の傍らで 青い銀杏がひっそりと その時を待っていた

 

 

 

No.03

No58

2003.8.20

 

 

 

 

 

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